派遣会社から研修を受けるよう言われたさとる君。
派遣社員として働く場合、1年に一定時間、教育訓練研修への参加が義務づけられていることを知りました。
では教育訓練研修とは一体何をするのでしょうか?ここでは『教育訓練研修の内容』について一緒に見ていきましょう。
また『教育訓練義務化』『対象者』『給料』『研修を拒否した場合』などについても解説致します。
派遣法改正 『教育訓練研修』の義務化
教育訓練の義務化ここ数年で派遣会社が開催する研修は増えているんだけど、それは2015年9月に改正された派遣法で、「派遣社員の段階的なキャリアアップのための教育訓練を行うこと」が決められたからなんだ。
派遣会社は職種別に『標準キャリアパス(キャリアアップする為の道筋)』を設定し、職業生活において求められる幅広い能力を体系的に身につけるため『教育訓練研修』を設けているんだ。
派遣社員には細かな説明がされていないケースが多いけど、派遣会社はその『教育訓練計画書』を国に提出し実施しているんだよ。
教育訓練の対象者は1年目〜3年目の全派遣社員
教育訓練研修は必須のため拒否はできない
派遣会社も実施実態を国に報告する義務があるから、素直に従って受講した方が心証が悪くならず派遣先の紹介などにも有利だよ。
『教育訓練研修』と『自由受講のスキルアップ研修』の違い
段階的なレベルアップ教育訓練研修は『派遣社員がキャリアアップするための内容であること』『段階的な教育訓練であること』が条件。
この「段階的な」という部分が非常に重要で、通常のスキルアップ研修とは大きく違うところだね。
例えば通常のスキルアップは自分で受講したい研修を選択できるから、同じ研修を毎年受けることも可能。
しかし、教育訓練研修は毎年前年よりもレベルアップした研修を受けることが前提だから、同じ研修は受けれないんだ。
通常のスキルアップ研修:エクセル操作を前年も今年も受けられる。
教育訓練計画の研修:エクセル(初級)を前年受けたら、今年はエクセル(中級)の研修を受け、来年はエクセル(上級)の研修を受ける
『教育訓練』での研修内容は派遣会社により様々
訓練種別 | 研修内容 |
事務職初級者向け 「ベーシックコース」 | ビジネス敬語基本/やさしいロジカルトレーニング/仕事で使える電話応対/OA初級 など |
事務職ミドル層向け 「アドバンスコース」 | 仕事がデキる人の伝え方/サクサク片付く仕事整理術/OA中級・実践/貿易のしくみと流れ など |
職種転換希望者向け 「キャリアを考えるコース」 | キャリアコンサルタントから学ぶ将来に向けたキャリア/接客・販売の基本/研究開発の基本/秘書の基本 など |
(引用:テンプスタッフの『年次定期研修コース』)
例:A社・B社の専門スキル研修に同じエクセル研修があった場合
A社:エクセル(初級)では書類の様式の作り方を学ぶ。
エクセル(中級)では表計算の作成について学ぶ。
B社:エクセル(初級)では表計算と数式の作り方を学ぶ。
エクセル(中級)では関数とグラフ作成について学ぶ。
またテンプスタッフの場合だと短期契約・長期契約に分けて別々の研修を設けているよ。
対象研修 | 対象となる方 | 訓練概要 |
1.短期契約の入社時研修 | 初めて短期契約で派遣就業開始された方 | 就業初日に「派遣就業にあたっての留意点」コースを受講 |
2.長期契約の入社時研修 | 初めて長期契約で派遣就業開始された方 | 就業開始後速やかに「今後のキャリア計画ガイダンス」コースを受講 |
3.長期契約の年次定期研修 | 1年以上の長期就業見込みの方、および長期継続就業中の方 | 毎年1回、指定の期間に指定の研修コース群の中からご自身のキャリア形成に必要なコースを受講 |
(引用:テンプスタッフの『訓練概要』)
教育訓練の給与や研修の料金
実績報告も行われている教育訓練研修の給与と研修料金についても派遣会社は国に書面で提出しているんだ。派遣会社に頼めば詳しい内容を説明してくれるよ。
また、教育訓練計画が計画で終わらないように、国は毎年6月に実施実績の報告を派遣会社に求めているんだ。
研修時間は1年に最低8時間 4年目以降は自由
研修上限時間は派遣会社次第研修上限は会社ごとの教育訓練計画の設定時間により異なるよ。複数の研修を必須としており、年間32時間という会社もあるね。
ただこれはかなり珍しい例。研修の時間数を多くすれば派遣会社の負担が大きくなるだけなので、通常は8時間で計画している会社が大半なんだ。
研修時間が多く計画されているのは、それだけ本気で派遣社員のキャリアアップに取り組んでいる証拠ともいえるね。
また1年目から3年目までは法律で決められた研修時間が義務付けられているけど、4年目以降は派遣会社によって設定できるんだ。
4年目以降の派遣社員は、すでに幅広い能力を体系的に身についていると判断し、研修の最低時間が法で決められていないんだね。必要なバージョンアップ情報の研修だけすればよいんだ。
ただ、まったく研修を設定しないと法に触れることになるけどね。
受講方法は『一斉研修講習』『eラーニング』
研修の形式
訓練計画に研修と資格取得をうたっている技術職の研修では、一斉研修を開催している場合があるよ。「低圧電気取扱講習」など受講だけで公的資格を取得できるものがあり、キャリアプランが設定しやすいためなんだ。
逆に事務職の多い派遣会社では自身のパソコンやスマートフォン・タブレットでのeラーニングの受講が多いね。
ただしeラーニングで受講する場合は注意が必要で、研修時間は給与が支払われるから、派遣就業時間前の時間帯、深夜時間帯(午後10時から翌日午前5時)は行えず、休日もダメなんだ。
残業や休日出勤の扱いにならない時間帯に受講する必要があるんだね。
受講時の服装
迷ったときは襟のあるシャツを選択しよう。技術職の専門スキル講習では内容により作業服着用などの指定があるから、それに従えば問題ないよ。頑張ってね